ラジオ特別番組 2024

2024年10月19日(土) 午後3時30分~4時

ぎふチャン ラジオ 特別番組

ぎふピンクリボン

「いのちの大切さ ~まずは、わたしが持続可能に!~」

 

 <番組概要>

SDGs目標「すべての人に健康と福祉を」「働きがいも経済成長も」を念頭に、「まずは、わたしが持続可能に」をテーマに掲げ、ぎふピンクリボン実行委員会が展開する乳がん啓発番組。専門医師と罹患者から、乳がんの早期発見・早期治療の大切さ、働きながら治療をする上での支援体制などについて伺います。

 

【出演】

岐阜大学医学部附属病院 乳腺外科 二村学 教授

ピアニスト 987co(カナコ) さん

【進行】

ぎふピンクリボン実行委員会 代表 平松亜希子



ぎふピンクリボン特別番組 「いのちの大切さ ~まずは、わたしが持続可能に!~」

 

平松:

「ぎふピンクリボン。まずはわたしが持続可能に。」 平松亜希子です。

SDGs 持続可能な取り組みの中で、皆さんは何に取り組んでいますか。
地球環境への配慮は当然のことながら、仕事、家事、育児。毎日の暮らしの中で、自分自身が健康でいないと何もできません。 SDGs17のゴールのうち、「3の全ての人に健康と福祉を」「5 ジェンダー平等を実現しよう」「働きがいも経済成長も」。これらを中心に、全ての皆さんが健康で楽しく生きる、やりがいを持って毎日が送れるよう、「17 パートナーシップで目標を達成しよう」。みんなで協力しながら、ご自身の健康を意識していただきたいと思います。


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月はピンクリボン月間です。日本における女性の癌率、罹患率の第1位は乳がんです。
男性も罹患することがありますが、女性にとっては非常に身近な病気であり、今も病気と闘いながら社会生活を送られている方も多くいらっしゃいます。
そこで今日は、実際に治療を続けながら、ピアニストとして活動されている方をゲストにお迎えし、専門医からの正しい乳がんの知識について学び、皆さんに健康への意識を高めていただきたいと思います。


「ぎふピンクリボン まずはわたしが持続可能に。」

この番組は、明治安田生命、サンメッセ株式会社の協力、岐阜県清流の国岐阜SDGs推進ネットワーク連携促進補助金を受けてお送りします。

 


ぎふピンクリボン まずは私が持続可能に。

この番組を一緒に届けてくださる方をご紹介していきます。

岐阜大学医学部附属病院乳腺外科教授の二村学先生です。よろしくお願いします。


二村医師:

はい、よろしくお願いいたします。


平松:

そして、現在、乳がんと闘いながらピアニストとして活動されていますカナコさんです。よろしくお願いします。


カナコさん:
よろしくお願いいたします。


平松:
まず、乳がんは女性にとって非常に身近な病気ですが、ここ最近の動向としては、先生いかがですか。

 

二村医師:
はい。乳がんというのはですね、もう少し前からずっと言われてることなんですけど、女性の中では1番多い癌という風に言われております。他の癌と比べてダントツに多いんですよね。特に日本人、アジア人ということですけども、40歳代から急激に増え、40代、50代、60代を中心にということで、働き盛り、それから母親盛り、そういった忙しい方に多いという風に言われて、年々増えてるという風に言われてます。


平松:
働き盛りというお話がありましたが、まさに働き盛りのカナコさんですね。乳がんと診断されたのはいつ、どういうタイミングだったんですか。


カナコさん:
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代の後半に、ちょっと脇の下がおかしいなっていう、ほんとに米粒ぐらいの、ほんとに普通にしていたら気づかないぐらいのものだったんですけど、それを発見したのがきっかけですね。

 

平松:

それで、ご自身でおかしいなって思われるのは、先生多いんですか。


二村医師:
はい。本当は1番多いのはですね。お乳、乳房の中にしこりを見つけたって方、結構いらっしゃいます。
カナコさんのように、脇のどこかがおかしい、痛い、何かを触れる、こういった方も確かにおられて、逆に言うと、カナコさんよく気づかれたなという風に思うのが僕の印象ですね。


平松:
痛みはあったんですか。


カナコさん:

全くというほどなくて、特に何か出血してるとかいうこともなく、ただ、一緒にお風呂に入っていた娘が何か悪いものだと嫌なので、お母さん病院に行ってっていう一言がきっかけですね。


平松:
発見された時、診断された時、どんなお気持ちでしたか。


カナコさん:

診断された時は1人で病院に行っていたので、病院の駐車場でひとしきり泣いてから家に帰りました。


平松:

まさか自分がって思われる方が先生非常に多いって言いますね。


二村医師:
はい、そうなんです。私ども病院で乳がん診療しておりますが、もうほんとにですね、10人が10人、100人が100人、まさか自分はなると思わなかったというふうにおっしゃりますね。もうそれほど普段は皆さん、まさか自分がなるというふうに思ってない現状があるんだと思います。


平松:
カナコさんもまさかという気持ちでしたか。


カナコさん:
そうですね。脇の下にできたものがイコール乳がんっていうことも分からなかったので、ちょっともう本当に衝撃的でした。


平松:
その後、治療はどのようにしていったんですか。


カナコさん:
やはり30代ですと、なんか若年性というか、若い部類に入るみたいで、すごく進行が早いというか。私は検診も受けていたので、なのにそれでもだったりとか、そういうのもあって、ありとあらゆる治療をした方がいいということで、できる限りの治療をしました。


平松:

現在もその治療が続いている状態ですね。


カナコさん:
そうですね。手術をして放射線治療もして抗がん剤の治療もして、 髪の毛が抜けたり、ほんとに色々ショッキングなことも経験しましたし、今現在も治療は続いてます。


平松:
現在と昔とは治療法が変わったという部分も、先生、あるんですか。


二村医師:
要はですね、ほんとに早い時期、 健康診断でしか見つからないような早期のものから、例えば自覚症状、カナコさんの場合は脇のリンパ節を触れたということですけども、このようにいろんなバラエティに富んだですね、乳がんがあるんですよね。で、早期であればですね、もう今はですね、わずかに小さい手術、あるいは手術をしなくてそれに類するような方法で治せる場合もあると。
逆にですね、やはりリンパの転移が、例えばたくさんの方の場合ですと、手術、抗がん剤、それから放射線、ありとあらゆる方法をうまく組み合わせてですね、総合的に治すという、そういう技術も発展してますので、その段階に合わせて治療を組み立てるということが重要になってきます。


平松:
いずれの場合も早く見つけた方がっていうのは変わらないですね。


二村医師:
やっぱり早い方がいいのは間違いないですよね。これは乳がんだけじゃないんですよ。他の癌でも全てそうです。 だから、早く治せば、より短い期間により確実に治すということはあります。 ただ、人によってそれは様々ですので、そのケースバイケースで適切に対応するということが大事になってきます。


平松:
今は切らなくても治せるラジオ波照射療法という治療法もありますね。先生。


二村医師:
そうなんです。これはですね、乳房の中の1.5センチより小さい、1.5センチというとどうですかね、小指の先ぐらいの乳がんですかね、こういったのはほとんどが乳がん検診でしか見つからないんですよね。そういった方の場合はですね、もう切ることすらなくてですね、わずか2ミリという小さな傷の中から針を通して乳がんを焼いて治すという、そんな新しい治療も今はできるようになりました。
全ての方がそういうのにというわけではないんですが、がん治療の最終目標は、全ての患者さんを治してですね、元気でずっといていただくということが1番の目標ですので、そのために、より早く、確実に治せるような早期発見というのは重要だなという風に思ってます。


平松:

今は治療をしながら仕事も続ける時代ですよね。


二村医師:
そうなんですよね、昔はですね、先ほどあのカナコさんおっしゃられました、もうがんと聞くとほんとにショックで何をしたらいいのかわからないと、もう慌てて自分のお仕事をすぐ辞める、すぐ辞職届を出す、びっくり辞職という言葉があるんですけども、そういった方が一時多かったんですよね。 でも、そういう人たち、ちゃんと仕事が治療の後に戻れると。ところがもう辞めてしまったと、いや、それはないよということになるので、たとえ病気をされても、一時休みながらでもまたちゃんと社会復帰をして、元通りに活躍していただくと いうことが、こういった病気をされた方に一番重要じゃないかなという風に思い、我々のみならずですね、いろんな会社、いろんな部署がですね、そういったこと意識するような時代になってきてます。


平松:
カナコさんも現在、治療をしながらピアニストとしても活動されてますもんね。


カナコさん:
はい。あの、おかげさまで、もうほんとに病気の診断された時には、ピアノは弾きたくないと思いましたし、他のこともそうですけど、家のことも、ほんとに家族に助けてもらいながら、もうほんとに普通に生活するのが大変でした。

 

平松:

それは体のことだけじゃなくて、気持ちの面でもと。

 

カナコさん:
気持ち的にも落ちるんですけど、やはり乳がんの治療となると、ネックだったのが、やっぱり抗がん剤の治療で見た目も変わってしまったり、体が思うように動かなくなってしまったり、そこでメンタルというか心も落ちてしまったりとか、そういうこともありました。


平松:
一度弾けなくなってしまったピアノをなぜ復活されたんですか。


カナコさん:
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人の娘と1人男の子がいるんですけど、以前はもっと精力的にピアノを弾いていて、もうやめようと思った時にやっぱり弾いてほしい、お母さんのピアノが聞きたいって言ってくれて。表に出ることが、やはりウィッグだったり、見た目が変わってしまったことによって、すごく自分的には抵抗があったんですけど、娘たちが堂々と悪いことをしていないので、お母さんは堂々と表に出たらいいんだよって言って教えてくれたんですね。子供に背中を押されました。


平松:
こういう家族の支え、そして周りの方の支えって大きいですよね。


二村医師:

ほんとにそうですよね。やっぱり、病気というのは1人で抱えるとですね、大変です。精神的にも肉体的にも辛いのですね、1人でやるっていうのは無理ですよね。まずは、やっぱり家族が支えていただけたというのは、本当に僕はカナコさん、幸せだったと思います。
でも、それのみならず、例えば、会社の同僚、仲間、周りの人たちもですね、きっと助けてくれるということだと思うんですよね。やはり、病気というのは、1人で抱え込むのではなくて、 そういった大きなやっぱり1つのコミュニティとして支えていかなければいけないということを、ほんとに痛感させられますね。


平松:

そして、病院の中でも、いろいろフォローしてくださる、支えてくださる方もいらっしゃるんですよね。


二村医師:
そうなんです。やはりですね、私たちのがん拠点病院なんかは必ずそうなんですけども、そういった相談員というのが必ずいます。 それから、ソーシャルワーカー、それからがん専門のナース、薬剤師、そういったあらゆる方、またはですね、ボランティアで、がんサロンといった形で患者さんの悩みを聞いてくれるようなところもあって、各病院、多分そういうことをより充実させてると思いますのでそういうところで相談をしたりとかですね、気持ちを少しでも和らげていただければいいんじゃないかなという風に思います。


平松:

こういう皆さんの支えがあって、そして自分の体と向き合うことがSDGs、持続可能につながりますね。


二村医師:
ほんとにそうですね。 例えばですね、今、今日カナコさん、30代後半ということですけども、乳がんですと、30代から始まって40代、50代、60代が中心ですよね。
でも、今度50代、60代になると、胃癌、大腸癌、といった肺癌とか、またほかの癌、要するに我々はですね、そういう癌と向き合っていかなければならないわけです。 癌だけじゃないですよね。脳梗塞、心筋梗塞、いろんな病気がきます。それはすべてですね、やっぱり1つのことを治すわけではなくて、健康全体の意識を持ってそういったものに乗り越えていくということがやっぱり重要じゃないかなという風に思います。


平松:
家族の支えがあって、周りの支えがあって今現在はピアノ活動されてますが、それに対してはいかがですか。


カナコさん:
ピアノが弾けることは、たとえ癌になってもそれだけで幸せなことだと思って、いつもいろんなことに感謝をしながら演奏させていただいてます。

平松:
乳がんは早期発見、早期治療で治る癌と言われてますね。


二村医師:
ほんとにそうなんですよ。日本の乳がんはですね、約9割がステージ01、2の早期なんです。 これらはですね、10年生存率といって、10年後もお元気でおられる確率がほぼ9割に近いんですよね。 やはり治りやすい癌の代表ということになります。それを放っておくとやはり大変なことになるということは間違いないわけです。その早く見つけるというためには、やはりですね、1つは、乳がん検診がなんといっても欠かせません。日本の乳がん検診は、今まで国が頑張ってきたにもかかわらず、地域が頑張ってきたにもかかわらず、 医療従事者が頑張ってきたにもかかわらず、50パーセントいかないと。残念ながら、やはり欧米の8割、9割と比べると少ないというのが1つは問題ですので、それをさらに高めていくことが重要です。
ただ、それだけではダメなんですよね。最近はブレストアウェアネスという言葉があるんです。これはそれぞれの乳房を自分自身で興味を持って、自分自身でしっかりと調べていきましょう。
検診も1つですけども、やはり自分で定期的に触ってみたりとか、体調が悪くないか、先ほどのカナコさんのですね、脇も含めて何か異常がある、そういったことに早めに気付くという、そういう意識を持つということが大事。 まさしくこれら2つは乳がんにとってもとてもとても大事な、持続可能なSDGsという風に言っても過言ではないと思います。


平松:

乳がんにとってのSDGs、私たちも意識していかないといけませんね。

 

二村医師:

まさしくその通りだと思います。

 

平松:
さあ、それでは最後にお二方からリスナーの皆さんにメッセージをいただきたいなと思います。まずはカナコさんから。


カナコさん:
今回、去年からですかね、ぎふピンクリボンの活動に参加させていただいてるんですけど、これを通じてたくさんの方とのご縁があったりするので、1人で抱え込まずにイベントとかに足を運んでみたりとか、ほんとに私も乳がんなんだよっていう方が意外に周りにたくさんいるので、1人にならずに色々な方と関わりを持つっていうことを大切にしていただきたいなと思います。


平松:
では、二村先生、お願いします。


二村医師:
先ほども申しましたが、乳がんは増えてます。誰がなってもおかしくない事態になってます。ですので、まずは早期発見ということで乳がん検診を受けてください。
そして、もし乳がんになってしまってもですね。我々、さまざまな治療方法を持っております。それぞれの患者さんにあった適切な治療をお与えできるんじゃないかなと思います。そうすれば、ここにおられるカナコさんのように、また改めて昔の舞台に戻って、その人の人生がまた少しでもより有効な素晴らしいものになるという風な、そういったものを作れればいいかなという風に思って、日々診療にも励んでいきたいなという風に思っております。


平松:
皆さんの健康が、そして皆さんのこれからの生活が守られますように、継続されますように祈っています。

今日は二村先生とカナコさんにお付き合いいただきました。

ありがとうございました。


二村医師・カナコさん:

ありがとうございました。

 

インタビュー:
乳がん検診は受けたことがないです。受けなきゃとは思ってるんですけど。ただ自分で一応触診っていうんですか、鏡の前にお風呂に入る前に、鏡に映った状態をこう触ったりとか、こう引きずれがないかっていうのはやるようにはしてるんですけれど、検診自体はちょっと受けたことがないので、ダメだなと思いながら、今年こそ受けてみようと思います。健康維持は、睡眠時間はちゃんと確保するようにはしています。ただ、ちょっと6時間も少なめなんですけど、自分にとっては6時間がなんかちょっといい感じで、6時間以上と目覚めちゃうので、その睡眠時間は必ず確保するように。食事も3食きちんと摂るように。それは気を付けています。

 

インタビュー:

乳がん検診は会社で健康診断を受けてるので、それで合わせて検診してます。健康維持のためには、よく食べて寝ることにしてます。

 

インタビュー:

乳がん検診はあまりやってないです。健康維持のためには、ストレッチとか毎日するようにしてます。 毎日お風呂で自分で触ってチェックしています。

 

インタビュー:

私、乳がん検診は年に1回やってます。

 

インタビュー:

乳がん検診は人間ドックの時にやってます。なので、一応毎年やってます。はい。健康維持のためには、やらなきゃなとは思ってます。

 

インタビュー:

乳がん検診は会社の検診で毎年やってます。 健康維持は、会社まで2キロぐらいあるんですけど、歩いて行ってます。

 

インタビュー:

乳がん検診は3年ぶりに来ました。健康維持のために週11キロ泳いでます。

 

インタビュー:

乳がん検診は1年に1回受けてます。もっと健康に気を付けて、体を整えて。

健康維持のためには車すごく乗るので、少しでも歩くようにちょっと遠いところに置いてみたりして歩いてます。

 

インタビュー:

 乳がん検診は私も受けたことがないんです。興味はあるんですけど、なんかちょっと怖くて。1度受けてみようかなとは思ってます。